ハーピィデッキを考える~華麗軸~
DP04の登場で私は浮き足立ちました。大変に思い入れのあるテーマである【ハーピィ】にたくさんの強化がなされたからです。嬉しくてバンザイしちゃいます。せっかくなので私もハーピィデッキの考察をあげたい!と思い、一筆したためることにしました。新しくハーピィを組んでみたいと感じた方が「このタイプのハーピィなら組んでみたい」とご自分に合うものが作れるよう頑張ります!
1:はじめに
(リンクルベル→《ハーピィ・コンダクター》、発売しだい修正いたします)
・当ブログではこのデッキレシピ、つまり「《ハーピィ・レディ三姉妹》+《華麗なるハーピィ・レディ》採用型ハーピィ」を基準にしてお話しを進めていきます。
・異なるタイプのハーピィデッキについては追々記事を書かせていただきます。
・このブログは、「どのハーピィデッキが強いか」を話すことが主題なのではなく、「このタイプのデッキにはこういう強みがある。だからこういう相手に強い」と言う風に各タイプにおけるポテンシャルを示すことが目的です。
以上をご承知の上でご覧いただけますと幸いです。
2:ハーピィの強みとは?
「イラストが好き」「孔雀舞が好き」という理由でハーピィを組んだという方もいらっしゃると思いますが、当然「新しいカードが出て来たから組んでみたい」というようにカードデザイン側から興味を持たれた方もいらっしゃると思います。今回は後者の方をメインターゲットとしてお話しいたします。
カードゲームで勝利を目的とする場合、デッキを選ぶのには当然「強み」が必要です。例えば【閃刀姫】が高い安定性と柔軟性を持っていて、【オルターガイスト】が罠との親和性が極めて高い、などと言った具合ですね。当然今のは非常にざっくりとしたものですので、きちんとデッキを組むとなればもっと明確なメリットを考えていきましょう。
さて、ハーピィにはどんな強さがあるでしょうか? どんな軸のことでも構いません。ハーピィカードで勝つのに欠かせないのはどんな要素なのでしょう?
私がハーピィを見ていて思う強みとは、こういったところです:
①ハーピィの羽根吹雪
②ヒステリック・サイン
③ハーピィの狩場
④レベル4デッキでランク7が作りやすい
⑤万華鏡-華麗なる分身-による柔軟な展開
当然他にもありますが、ひとまずは混ぜ物を無視して、純構築+α(手札誘発とか罠とか)を想定したメリットについてお話ししていきます。当たり前のことでも振り返ることが大事です。もうちょっと踏み込んでみましょうか。
2-1:羽根吹雪による行動制限
このカードは大変強力ですね。遊戯王はブルーアイズ最盛期であった黎明期を除くと、モンスター効果が非常に強力でそれありきでゲームが成り立っているほどです。それを1ターンの間完全に封殺し、しかもそれが手札から発動まで出来るとあれば何とも頼りになります。①については風属性・鳥獣族モンスターが居れば発動できるので《鳥銃士カステル》や《烈風の結界像》などでも代用できますが、手札から発動する効果も使えるし、ハーピィネームであることも利用できるというのは、やはり他デッキでは真似ができない良さです。
2-2:ヒステリック・サインによるアドバンテージ稼ぎ
遊戯王全カードプールを見渡しても上位に入るはず、そんな豪快なサーチカードの一枚。この存在は非常に強力。単純に手札から発動するだけで展開に使用する重要カードがサーチ・サルベージできますし、墓地効果に至っては楽しすぎて倒れそうになります。サーチ範囲も非常に広く、また枚数も「まで」とあるのでそうそう不発にならないのも魅力的ですね。
2-3:狩場による魔法・罠コントロール
使っている側からすると自分で自分を割っちゃうお茶目さんですが、罠を主軸に戦うデッキからすれば悪夢の象徴です。ハーピィたちが場に出るとアドバンテージを稼いでくる恐怖のフィールド魔法。このカードのパワーが高いからこそ《魔封じの芳香》を入れたハーピィが誕生したとすら思っています。昨今では《レッド・リブート》も登場して、ますます強力になりました。このカードの存在もまた、ハーピィならではの魅力です。
2-4:ランク7の可能性
このカードの詳しい使い方はここでは語りませんが、その中の一つを先取りすると「ランク7が比較的出しやすいレベル4主軸のデッキである」ことは見逃せないメリットです。ランク7には《No.11 ビッグ・アイ》や《No.28 タイタニック・モス》、《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》、《RR-アーセナル・ファルコン》、《幻獣機ドラゴサック》といった強力なエクシーズモンスターが揃っていて、特にこの《No.42 スターシップ・ギャラクシー・トマホーク》、《RR-アーセナル・ファルコン》《幻獣機ドラゴサック》の3名が秘めた可能性は見逃せません。これについてはまた詳細を別の記事で述べますが、ともかくこの出しやすさは十分な差別点です。
2-5:万華鏡-華麗なる分身-による展開
ハーピィデッキにおける基盤ともなるカードですが、これの存在もまた他のデッキでは不可能な挙動を可能にするので明確なメリットでしょう。というのもこのカードは《ヒステリック・サイン》《ハーピィ・パフューマー》でサーチができるので、モンスターをかなりの低リスクで展開できるカードがデッキの20パーセントほどを占めているという状態が起こっているのです。これは十分に強力なポイントですね。
3:どんなポイントを優先するか決める
何だか沢山のことを書きました。メリットばっかり書きましたのでとっても強そう。「よっしゃ全部入れるぞ!!」とおっしゃるそこのあなた、少しお待ちなさい。ハーピィを作る際に重要なのは「強みの把握」だけではありません。むしろこっちが大事:
どの強みを優先するか
を決めよう!!!!
これを怠ると悲劇が起きます。ハーピィは沢山のカードが登場したことで非常に難しくなりました。そのため、複数のメリットが内在してるけど互いに強みを殺し合った結果、出来上がりが炭に成り果てたパンみたいなデッキを作ってしまえる可能性があります。不定形炭素生成を回避する為には「どれを優先すると、自分がこれから戦う環境に強いのか」を明確にする必要があるのです。
今回のサンプルレシピで優先したのは①と⑤ですね。②、③も当然含んでいますが最優先にはしていません。
3-1:サンプルレシピの取捨選択について
羽根吹雪による相手のテンポロス、そして万華鏡による安定した展開。この二つを優先する場合、三姉妹が採用に値すると判断しました。この理由について述べますが:
①フィールドでレディになってくれるパフューマーから万華鏡がサーチができるようになったため、万華鏡に依存しても構わなくなった。
②《ハーピィ・オラクル》の自己特殊召喚が強力で、特に三姉妹を出してから「羽根吹雪を構えながらランク4も出す。さらに展開札の回収までしておく」といった動きが可能になるため、三姉妹を採用することに十分なリターンがある。
③《華麗なるハーピィ・レディ》(以下、華麗)の登場で、三姉妹を場に出してカードを伏せるだけで多大なプレッシャーを与えられるようになった。また全体除去などが来ても華麗で三姉妹を戻して「パフューマー、オラクル、ハーピスト」あるいは「(ドラゴン族モンスターがいる状態でなら)チャネラー、パフューマー、ハーピスト」と出すことでリソース回復が目論めるため、単に破壊されるだけのカードではなく攻めの際にも守勢に回る際にも使えるカードをデッキの中に作ることができる。
といった部分にあります。
他デッキタイプに比べてどうなのよ、などの質問は一旦ご遠慮ください。この記事は「このデッキの魅力掲載」と「以降のデッキがどのようなメリット・デメリットを持っているのかの試金石の準備」という二点が重要でございますので。
4:サンプルデッキでの主な展開方法
このデッキをいきなり回すのは非常に難しい。というのも同じ手札でも状況によって最適な動きが変化する為です。正直適切な行動のフローチャートを完成させるのは、私の脳みそと制作するために求められる時間的に無理があります。状況に応じたものを選べるようになるべく、まずは基準となる動きを抑えていきましょう。
今から書く以下の4つで主に意識するのは「如何に羽根吹雪を打てる気配がする布陣にするか」になります。「羽根吹雪を持っている」場合、あるいは「羽根吹雪があるというブラフを見せたい」場合にはこちらがオススメです。
最終盤面:幻竜+三姉妹 or コンダクター+三姉妹+ハーピィ一体
三姉妹によって、幻竜を出しても手札損失をカバーしながら羽根吹雪を構えることができますし、また持っている他のカード次第ではコンダクターを出すことで更なるアドバンテージ確保が狙えます。
②パフューマー+オラクル
最終盤面:コンダクターorランク4+三姉妹
同じく三姉妹を出すことによる展開ですが、こちらのほうが必要札が少なく汎用性が高いですね。パフューマーじゃなくても「ハーピスト+サイン」などでここに持って行くことができます。チャネラーの効果が使えない場合でも狙える挙動になりますので覚えておきましょう。
③チャネラー+コスト(その1)
最終盤面:コンダクター+三姉妹+華麗(手札にダンサー、墓地にパフューマー)
⑤ダンサー+ハーピスト+万華鏡
こちらは除去をする際の基盤となる動きですね。コンダクターの登場でダンサーやハーピストの効果がどちらも相手よりボード・アドバンテージを取れるようになりましたが、そもそも後者のハーピストでのボード侵略はいつ使えるのか、ということで実用的な例を書かせていただきました。
⑥チャネラー+万華鏡+コスト
最終盤面:コンダクター+三姉妹 合わせ鏡
逆に「羽根吹雪を意識しない動き」も考えてみましょう。こちらの特長は「要求されるカードの枚数が少ない」点と、「最終盤面が比較的自由である」点です。しかし残念ながら最強の妨害カードである羽根吹雪さんは使えないので、「他に《御前試合》などの強力な罠があるか、バグースカなど強力なモンスターを成立させるか」という時に視野に入れたいですね。
①チャネラー+手札コスト(その2)
最終盤面が素直ですね。終着点はバグースカなどになると思いますが、先ほども申し上げた通りに「羽根吹雪には頼れない」ことをお忘れなきよう。
4-1:展開の心得
このハーピィデッキ――延いてはハーピィデッキは基本的に「カード一枚から出来る強い動き」というものがあまりありません。そのため、「複数枚のカードを投資して、相手の行動をコントロールしてやろう!」という意気込みが重要になります。
例えばですが初手に「チャネラー、ハーピスト、パフューマー、御前試合、墓穴の指名者、狩場」みたいな良ハンドが来たとしても、どれをいつ、どの順番で使うかによって、目標の盤面になるまでに「相手の盤面を如何に封じられるか」「相手の盤面をどれだけ破壊できるか」がガッツリ変わってきます。特に「チャネラーから持って来る先」はとても重要で、ダンサーにするかパフューマーにするか、はたまたそれ以外にするかで手札に残るリソースとデッキ内のカード、狩場の起動回数が云々……みたいな風に、けっこう考えることが多いのですよね。ダンサーを持って来たとして、そのダンサーでバウンスするのをどっちにするか問題もあります。パフューマーを展開しても、そこで何をサーチするかが難しいと言う問題も残っています。
①チャネラーNSダンサーSS、ダンサー効果ダンサーバウンスパフューマーNS、万華鏡サーチから幻竜XS、御前と絡めつつライフを削るルートに持ち込む。
→ハーピストでチャネラーをサーチすることが求められるが、ダンサーが手札にあるのでハーピストがよしんば妨害されても次のターンの狩場による動きが保証されている。
②チャネラーNSダンサーSS、ダンサー効果チャネラーバウンスパフューマーNS、万華鏡サーチから幻竜XS、御前と絡めつつライフを削るルートに持ち込む。
→チャネラーが手札にあり、場に幻竜が居るので次のターンパフューマーの2枚サーチが現実的。自分側のアドバンテージを稼ぎやすい動きになる。
③チャネラーNSパフューマーSS、合わせ鏡サーチして発動、相手の伏せカード次第で狩場を発動しつつ、コンダクターをリンク召喚して自爆特攻、合わせ鏡の①効果でダンサーをSSして狩場で合わせ鏡破壊からコンダクター蘇生、MP2にダンサー効果で自身をバウンスしてコンダクターの除去能力起動。(ここでダンサーを出さずにコンダクターの盾となる狩場を維持しつつ、コストにしたハーピストで持ってくるであろう次なるチャネラーのコストにするというのも大いにアリ。)
→ライフレースでは負けているが、対処にやや困るモンスターを処理しながらコンダクターを一枚墓地へ置くことで、蘇生札を活かしやすくする。手札にパフューマーがいるので次のターンの動きも比較的保証されている。
ぱっと思い付いた三つを書きましたが、こう見るだけでもゲームプランニングによって持ってくるべきカードが違うと言えないでしょうか。
重要なのは「この手札ならば常にこの動きが正解」というものがないということを念頭に置きつつ、頭の中に幾つかの模範ルートを入れておき、最適なアドバンテージ稼ぎができるものをチョイスすることなのです。
ちなみに今回の手札の場合、一般的にチャネラーから持ってくるのはダンサーにすると最も受けが広い挙動になります。「リソースとしてデッキに残っているパフューマーがなくなる」「手札のパフューマーを次に出せるタイミングが遅くなりそう」「ハーピストで1枚サーチが出来る」などといった点から、ダンサーからの動きが自然です。ただし、繰り返しになりますが絶対にこれというわけではありません。相手の盤面と動きから、必要なルートを選んで除去と展開に勤しんでいただきたいです。
4-2:注意するべきカード
ハーピィは構築しだいで様々なことができる楽しいテーマですが、その実弱点は少なくありません。というのも彼女たちは皆モンスター効果を如何に使うかで戦うデッキであるので、それらを止められると非常に苦しいことが多くなります。
特に、名前を変更する効果を封印してくる「エフェクト・ヴェーラー」「無限泡影」あたりは、食らうと大変苦しいことになります。ヒステリック・サインの墓地効果に飛んで来る「灰流うらら」もゲロ吐きそうになりますが、この二枚はそれ以上に危険です。名前がハーピィレディでなくなると万華鏡が死に札と成り果ててしまって、それでいて召喚権を使った都合で完全に動きがストップしてしまいます。他の手札誘発はまだ挽回の余地がありますが、上記の2枚は直撃するとしょんぼりします。青菜に塩です。くれぐれもご注意ください。
4-3:ダンサーについて
このデッキにおいてダンサーは非常に重要な役割があります。というのもダンサーの「自身ないし仲間をバウンスする」起動効果と「さらにわりと自由に召喚を行える」処理は、華麗軸では欠かせない、ともすれば他の軸のデッキでさえも活用できるものであります。
①パフューマーとチャネラーを引いた際に、どちらも同じターンで使用しつつデッキにきちんとリソースを残し、さらに華麗の発動条件を満たすことが出来る。
②手札、ないし場にあるハーピストを召喚することができるので、コンダクターと合わせて使いやすい除去のトリガーにできる。
③持久戦になった際に継続的な発動が重要になって来る羽根休めを供給できるカードであるオラクルやパフューマーを守ることができるため、ロングゲームを想定した際でも十分に強い。
と言った動きが出来るようになり、デッキにあるかないかで決定的に柔軟性が変わります。
4-4:オラクルについて
オラクルの使い方についてもこちらで書かせていただきます。基本的にオラクルは:
①三姉妹が出ている状態で手札から展開することで、リソースを確保しつつランク4やコンダクターを出す、いわば攻撃プラン
②羽根休めと相互サルベージをし合うことで決定打に欠ける戦いになった際に超持久戦にする、いわば耐久プラン
の2通りを選択できます。つまり「よほど噛み合わない手札になってしまうか、構築上活躍が無理であるか」でない限り、オラクルはハーピィの柔軟な動きを支援する貴重で強力なカードなのです。
加えるとこのデッキにおいては:
- 三姉妹が存在するのならば、ハーピストの除去効果の対象をオラクルにすることでボードの損失を相手へ一方的に押し付けることが出来る。
- 華麗やヒスパなどでパフューマーと一緒にSSするなどの際に最後に発動することで《灰流うらら》によってパフューマーの効果が妨げられることがない。
といった利点もありますので、是非とも意識してみてください。
また自身の効果以外でオラクルを特殊召喚するタイミングですが、「相手ターンに出す」のを意識すると使いやすくなります。「合わせ鏡・華麗・ヒスパ」による挙動ではありますが、前者二つは特に珍しい光景でもありません。
更に言うと、華麗で相手ターンにオラクルを出せているのならば、デッキに三姉妹が戻っている上に墓地にある万華鏡あるいは華麗を回収できているので、ダンサーやハーピストで手札に戻してから自身の効果で特殊召喚、万華鏡のサルベージを狙いながらもう一度相手ターンに華麗を使用する――という、相手からすれば悲劇のような三体特殊召喚ループが発生させられます。
5:まとめ
当ブログで基準になるデッキの紹介でございました。ゲームプランによって多種多様な動きが出来るこのデッキ、ぜひ一度お試しくださいませ。